生理検査

生理検査とは?

患者様から採取した検体を検査するのではなく、直接患者様に接して行う検査の総称です。
当院では以下の検査を実施しています。

  • 心電図検査(12誘導心電図、負荷心電図、ホルター心電図)
  • ABI・TBI・CAVI
  • 超音波検査(心臓、頚動脈、下肢静脈、乳腺など)
  • 脳波検査
  • 神経伝達速度検査
  • 肺機能検査(肺活量検査、呼気NO濃度測定)
  • 睡眠時無呼吸検査(簡易SAS検査、終夜睡眠ポリグラフ検査)

心電図検査とは?

心臓は自ら電気信号を作り出し、一定のリズムで動いています。 心電図は、電気の信号を目に見えるように記録したものです。 脈のみだれ(不整脈)のほかに、胸の痛み、動悸、呼吸困難、失神などの症状の診断のために行います。 また、手術前にも行われます。

12誘導心電図

手足と胸に電極をつけて、12か所の方向から信号を記録します。

【検査を受けていただくにあたり】

  • 検査時間は、約5分です。
  • 痛みはありませんので、普通呼吸で楽にしていてください。
  • 時計、ネックレス、指輪などは付けたままで検査できます。
12誘導心電図
12誘導心電図
12誘導心電図

負荷心電図

階段の昇り降りの運動をしていただき、運動の前後の心電図の変化を観察します。 おもに、安静時の心電図では発見できない虚血性心疾患の診断に役立ちます。

【検査を受けていただくにあたり】

  • 検査時間は、約20分です。
  • 規定の高さの2階段を、一定時間(1分30秒、または3分、または4分30秒)昇り降りしていただき、運動前と運動後の心電図を記録させていただきます。
  • 階段昇降中に胸の痛み、激しい動悸、吐き気、めまい、足の痛み等がありましたら、検査を担当しているものにお伝えください。
負荷心電図
負荷心電図

ホルター心電図

1日(24時間)の心電図を記録して、有症状時の心電図の変化や不整脈の種類・程度を調べます。 胸に電極と携帯型心電計をつけて帰宅し、翌日取り外しのため来院していただきます。 短時間のシャワー浴ができるタイプや、最長2週間記録できるタイプ、血圧を同時に計測するタイプの機種もあります。

【検査を受けていただくにあたり】

  • 機械の取り付け時間は、10~15分です。
  • 胸に数個の電極を付けて、帰宅していただきます。
  • 心電図記録中の行動を、「行動記録カード」に記入していただきます。
  • 検査当日に電気毛布、電気カーペットのご使用はお控えください。

ABI・TBI・CAVIとは?

動脈硬化の程度と、下肢の動脈が狭くなっていないかを調べる検査です。
両腕、両足首、両足の親指の血圧と脈波を測定します。

【検査を受けていただくにあたり】

  • 検査時間は、10分程度です。
  • 手足に血圧計を巻き、ベッドに仰向けに寝て検査を受けていただきます。
  • 測定中は、多少手足が締めつけられる感じがします。
  • 上腕や足(膝から下)を、露出しやすい服装でおこしください。
  • 透析患者様、持続血糖測定器使用中の患者様は、検査前に検査担当者にお知らせください。

ABI(足関節上腕血圧比)

腕と足首の血圧の比から下肢の動脈の狭窄や閉塞の有無、程度を調べます。

ABI(足関節上腕血圧比)
ABI(足関節上腕血圧比)

TBI(足趾上腕血圧比)

罹患歴の長い糖尿病患者や透析患者の場合、動脈の石灰化が強く足関節血圧が正しく測定できないため病変を見逃す可能性があります。 足趾の血管に石灰化が及ぶことはまれなため、このTBI検査で狭窄を評価します。

CAVI(cardio ankle vascular index)

心臓から足首までの動脈の硬さを反映する指標です。

超音波検査とは?

人には聞こえない音(超音波)を体の表面にあて、その反射波を利用し画像化して臓器を観察する検査です。 安全で痛くない検査です。

心臓エコー

心臓の大きさや壁の厚さ(肥大)、弁の開閉の具合(弁膜症)、また肺もしくは全身に血液をしっかり送り出しているかどうか(心機能)、生まれつき心臓の壁に穴などが開いていないか(先天性心疾患)などを観察する検査です。

【検査を受けていただくにあたり】

  • 検査時間は、約20分です。
  • 検査当日の食事制限は、ありません。
  • 検査中は上半身の衣類を脱いでいただき、心臓が観察しやすいように、左側を下にして寝ていただきます。
  • 検査中は、普通呼吸で楽にしていて下さい。必要があれば、少し息止めをしていただきます。
心臓エコー
心臓エコー
心臓エコー

頚動脈エコー

首の両側にある頚動脈を観察します。動脈硬化の程度や脳梗塞の原因となるような狭窄の有無を調べます。

【検査を受けていただくにあたり】

  • 検査時間は、40分程度です。
  • 検査当日の食事制限は、ありません。
  • 首の出しにくいハイネック等の服装は避け、首の部分が開きやすい服装で、おこしください。
頚動脈エコー
頚動脈エコー
頚動脈エコー

下肢静脈エコー

足の腫れや呼吸困難の症状がある場合などに、足の静脈に血栓がないかを調べます。

【検査を受けていただくにあたり】

  • 検査時間は、40分程度です。
  • 検査当日の食事制限は、ありません。
  • 足首から足の付け根まで観察します。また、必要に応じて腹部も観察します。

乳腺エコー

乳房内の病変の有無、しこりの大きさ、わきの下周囲リンパ節の病変などを調べる検査です。

【検査を受けていただくにあたり】

  • 検査時間は、約20分です。
  • 上半身の衣類を脱いで検査します。

脳波検査とは?

頭に小さな電極をつけて、ベッドに仰向けに寝ていただき、脳の活動状態を記録します。 検査中の痛みはありません。 検査中は光を受けていただいたり、深呼吸をしていただいたりし、脳の反応を調べます。

【検査を受けていただくにあたり】

  • 検査時間は、約1時間です。
  • 検査当日の薬や食事の制限はありません。
  • 整髪剤等はつけずに、清潔にして検査におこしください。
  • 乳幼児の患者様を検査する場合、検査前に薬で眠っていただき、睡眠状態で検査をさせていただくこともあります。
脳波検査
脳波検査
脳波検査

神経伝達速度検査とは?

皮膚の上から神経に電気の刺激をあたえ、その刺激が伝わる速度を調べ手足の痺れの原因や神経障害の有無を確認する検査です。 電気刺激による痛みや不快感を伴いますが、人体に影響はありませんので検査にご協力ください。

【検査を受けていただくにあたり】

  • 検査時間は、おおよそ30分~1時間です。(検査部位により異なります)
  • 検査部位が露出しやすい服装でお越しください。(予約時に説明いたします)
  • 検査直前にハンドクリームの使用は控えてください。
  • 個人差はありますが、電気刺激による痛みや不快感を伴います。どうしても我慢できない場合は、検査を担当しているものにお伝えください。
神経伝達速度検査

肺機能検査とは?

肺は、空気中の酸素を血液中に取り入れ、血液中の二酸化炭素を体外へ排出します。 そのためには、十分に換気をすることができる肺活量や、肺の適度なやわらかさ、良好なガス交換などが正常に機能する必要があります。
これらの肺機能は様々な病態で悪化し、呼吸困難や息切れといった症状として現れます。 この肺機能検査では、そういったことを調べています。
検査科では、肺活量検査、フローボリューム検査という検査をしていただきます。
これらの検査結果は、検査を受けられる方の努力によって大きく左右されます。 私たち臨床検査技師は、検査を受けられる方の肺の機能を正確に導き出すため、検査に応じた呼吸方法を、わかりやすく掛け声をかけて検査させていただきます。

肺活量検査

肺活量の検査は、肺から出入りする空気の量を測って、肺の大きさを調べます。 息を吸ったり吐いたりすることで、肺の容積、気道の閉塞や換気障害などを調べることができます。

【検査を受けていただくにあたり】

  • マウスピースをくわえ、鼻をつまんで検査を受けていただきます。
  • 検査中は、こちらの掛け声に合わせた呼吸をしていただきます。
  • 年齢、性別、身長、体重により予測肺活量が算出され、その値と比較をすることにより正常なのか、あるいは減少しているのかを評価するものです。
肺活量検査
肺活量検査
肺活量検査

フローボリューム検査

まず安静な呼吸をしていただき、こちらの掛け声に合わせ、胸いっぱいに息を吸い込んでいただきます。 そして「吐いて!」の合図で一気に息を吐き、最後まで力いっぱい吐き続けていただくことにより、どれだけ短時間に勢いよく息を吐き出せるかという評価をする検査です。

【検査を受けていただくにあたり】

  • マウスピースをくわえ、鼻をつまんで検査を受けていただきます。
  • 検査中は、こちらの掛け声に合わせた呼吸をしていただきます。
  • 年齢、性別、身長、体重により予測肺活量が算出され、その値と比較をすることにより正常なのか、あるいは減少しているのかを評価するものです。
  • めいっぱい吸い込んだ息を、一秒間に何%吐き出せるかで肺機能を調べています。

呼気NO濃度測定検査

呼気中のNO(一酸化窒素)の濃度を測定する検査です。 喘息患者様の気道には炎症があり、主に気道上皮のNO合成酵素が誘導され、大量のNOが産生されています。 そのため呼気中NO濃度を測定することで、気道炎症の存在や程度を知ることができるとされています。

【検査を受けていただくにあたり】

  • マウスピースをくわえ、検査を受けていただきます。
  • こちらの掛け声に合わせて10秒程度、息を吐きだしていただきます。
  • 終了後、約1分で呼気中NO濃度が算出され気道炎症の程度を調べることができます。
呼気NO濃度測定検査
呼気NO濃度測定検査

睡眠時無呼吸検査とは?

大きなイビキをかく人や起床時に頭痛がある人、また日中に眠気が強い人などは睡眠中に何度も呼吸が止まっている可能性があります。 睡眠時の呼吸状態を記録することで、睡眠時無呼吸症候群など睡眠障害の有無とその重症度を調べる検査です。

簡易SAS検査(アプノモニター)

自宅にて鼻(気流)、指(酸素飽和度)、腹部(体位)にセンサーをつけて就寝します。 入院の必要はありません。

【検査を受けていただくにあたり】

  • 検査時間は、一晩(就寝から起床までの2日間)です。
  • 事前に検査室にて、検査方法(装着と機器の操作)をご説明します。
  • 翌日、機器の返却にご来院ください。
簡易SAS検査
簡易SAS検査

終夜睡眠ポリグラフィー検査

睡眠時無呼吸症候群の精密検査です。 1泊入院していただきます。 気流や酸素飽和度のセンサー以外に脳波やいびき、筋電図などのセンサーを装着して検査します。

【検査を受けていただくにあたり】

  • 夕食後に機器の装着を開始します。装着完了までに1時間程度かかります。
  • 装着後は水分補給、歩行も可能です。
  • お部屋は個室を、ご用意いたします。
  • 来院時間などの詳細は、予約時にご説明いたします。